ページの閲覧ではない、ユーザーの行動を図る設定ができるイベントトラッキングですが、「直帰率への影響」を考慮せずに設定していませんか?
設定を間違えるとアナリティクスの直帰率が実は誤っていた!ということにつながります。
直帰ではない行動として扱う「偽」と無関係として扱う「真」の使い分けを理解すれば、自分の意図と合ったデータを計測できるようになります。
まずは、イベントが直帰率に関係ある行動かどうか考えてみよう。
直帰ではないなら
GTMでは「偽」を、直書きなら「false(無記入)」
無関係なら
GTMでは「真」を、直書きなら「true」を非インタラクションヒットに設定するって覚えてね。
設定方法ごとに設定する値
GTMの場合
非インタラクションヒットの欄(画像内、青丸)があるので「真」or「偽」を選択。
デフォルトでは「偽」が設定されています。
ソースに直書きする場合
<a href="https://example.com">
上記は、直書きでのイベントトラッキングの設定例(onclick以降がその記述)です。
最後のtrueの値を目的に合わせて書き換えます。
「true」or「false」または「記載なし」の3種類を使い分けて設定します。
共通の意味
- 「真」「true」が同じ意味
- 「偽」「false」「無記入」が同じ意味
表記を統一するため、この記事ではGoogleタグマネージャーでの表記を使って説明していきます。
非インタラクションヒットとは
「非インタラクション」という用語は、イベントヒットを送信するメソッドに渡される、確定的かつオプションのブール値パラメータに当てはまります。このパラメータを使用すると、イベント測定も設定されているサイト上のページの直帰率の定義方法を指定できます。…(中略)…イベントヒットは既定ではインタラクション ヒットと見なされ、直帰率の計算に含められます。しかし、ここでパラメータの値を true に設定すると、このようなイベントヒットがインタラクション ヒットとは見なされなくなります。この法則を利用することで、イベントを含むページの直帰率の計算を調整できます。値を true に設定した場合は、非インタラクションのイベントがタグ設定された 1 ページのセッションは、ユーザーがセッション中に当該イベントをトリガーした場合でも、直帰にカウントされます。逆に、このオプションを省略すると、イベント測定が設定された 1 ページのセッションは、同じセッション中にユーザーがイベントをトリガーした場合は直帰にカウントされなくなります。
“非インタラクションのイベント” イベントについて – アナリティクス ヘルプ
正確な意味は、上記のGoogleアナリティクスの公式説明をご確認ください。
ただ、ヘルプの内容は若干難しいのですよね。
ここでは非インタラクションヒットについてかみ砕いた説明をしていきます。
Q.直帰率に関係ない行動(計算に使用しない)ですか?
A.YES or NO
このQが非インタラクションヒットです。
それに対してAで「YES=真」か「NO=偽」を選択します。
データとして計測しているだけで意味のあるユーザー行動ではない場合に、「真」を設定することで直帰率に影響を与えなくなります。
真の意味を「直帰」と説明することもあるけど、真を設定したイベントを実行すると直帰になるという意味ではないので直帰率と無関係という捉え方をしてみてね。
真偽の設定と直帰・非直帰の関係
例として、イベントトラッキングも設定していないLPの通常の計測で、
【フォーム送信ボタン(完了ページなし)】
【別ページへ遷移】
のような行動があったとします。
その場合、それぞれ直帰・非直帰の扱いは以下の通りです。
- LP → 離脱する = 直帰
- LP → 別ページ =非直帰
- LP → ボタンクリック = 直帰
ここでイベントトラッキングを設定し、さらにスクロール率計測を追加します。
【フォーム送信ボタンクリックで「偽」を設定】
【スクロール率の計測で「真」を設定】
この設定を行った場合では以下の通りになります。
- LP → 離脱 = 直帰
- LP → スクロールする(真) →離脱 = 直帰
- LP →スクロールする(真) → ボタンクリック(偽) → 離脱 = 非直帰
- LP → 別ページ → LP → スクロールする(真) →離脱 = 非直帰
- LP →スクロールする(真) → ボタンクリック(偽) →スクロールする(真) →離脱 = 非直帰
真のイベントの前に別ページに遷移したり、偽のイベントを実行していれば、そのあとに真のイベントを実行しても非直帰として扱います。
これが「直帰率に影響をしない」という意味です。
直帰したセッションかどうかという扱いとは無関係となり、その前後の行動次第でのみ計算されます。
「真」の行動のみか、何も行動しなければ直帰。
「偽」の行動か、通常のPVに値する行動をすれば非直帰。
さらに非直帰になった後、「真」の行動をしても直帰扱いには戻らないから間違わないでね。
偽として扱うイベント例
- 資料ダウンロード
- 問い合わせ送信(完了ページなし)
どちらもボタンを押して終了となる状況を想定しています。
何も設定していない場合、その行動だけでは直帰となりますが、コンバージョンに近しかったり意味のある行動なので偽として良いと考えられます。
特に問い合わせ送信は、完了ページが用意されているサイトもあり、その場合は自然と非直帰となるため、完了ページがない送信ボタンでは非直帰として扱う方が自然ですね。
真として扱うイベント例
- スクロール率
- 要素(バナーなど)の表示
スクロール率は、ページをどこまで見たか計測しているだけなので、1つ目の計測領域だけでも入ったらイベントが実行されます。
これを偽としてしまうと、直帰率が異常などほど低く計算されてしまうはずです。
例えば、ファーストビューからちょっと下を見てすぐ離脱したのに非直帰として扱われのは変ですよね。
また、要素の表示は特定のバナーやフォームなどが画面に表示されたかどうかを計測する場合です。
これは、「バナーが目に入った」だけなので実際には何も行動してをしていません。(なんなら、表示されただけで本当に目に入ったかも分からない)
これを非直帰として扱うのもおかしくなるため、真として扱うのが妥当です。
もし、偽のイベントを設定するなら書いた偽のイベント例にある「問い合わせ送信」のような行動か、バナーであれば外部サイトへ遷移するかポップアップが表示されるようなものに設定します。
真偽の設定を知らないと直帰率はノイズになる
非インタラクションヒットは、デフォルトでは「偽」が設定されています。
これは、GTMでの設定だけではなく直接ソースに記載する場合もです。
ソースに記載する場合、true・falseのどちらも記入されてなければ「false=偽」として扱ってしまいます。
イベントトラッキングは、何かを「クリック」したときの計測が特に使われる印象があります。
クリックは、基本的に直帰として扱わないものの方が多いので「偽」のままでも悪影響はないと思います。
設定を誤ることで数値が高くなったり、低くなったりと変化するので気を付けてみてください。
しかし、何よりもこの行動はどう扱うべきかを考えておくことで、直帰率のデータを正しく捉えられるという点が大切です。
60%の直帰したセッションに「問い合わせ送信」したセッションが含まれている?いない?など、しっかり理解しておきたいですね。